ドイツが生まれ変わる兆し
そして今、新たなドイツが生まれようとしている。
ロシアのウクライナ侵攻が始まった3日後、前例のない連立政権を率いるオラフ・ショルツ新首相がドイツ連邦議会で「Zeitenwende(時代の変わり目)」を宣言する演説を行い、戦後ドイツの平和主義への傾倒との決別を示唆した。
喝采を浴びた演説では、今後何年にも及ぶ計画を描いてみせた。
良い知らせは、ドイツの課題は対処可能なことだ。エネルギーを例に取ろう。
プーチン氏がウクライナを侵攻した時、ドイツは国内で消費するガスの55%をロシアに依存していた。
悲観論者は、ガスの供給が絶たれ、ドイツの工場が閉鎖され、家族が台所で凍えることになると警告した。
ところが実際には、ドイツのガス市場に占めるロシアのシェアが半減したにもかかわらず、冬に向けたガスの備蓄は通常のペースで進んでいる。
産業は、ガスの使用を予想以上に節減できると話している。価格高騰と節電キャンペーンを前にして、家庭も同じことをするだろう。
ドイツは休眠状態だった石炭火力発電所の稼働を再開している。再生可能エネルギーにも投資する。
ドイツは早計に廃炉計画が立てられた3つの原子力発電所の稼働を延長すべきだ(恐らく実際に延長するだろう)。
また、大量のシェールガスを手の届かない存在にしていたフラッキング(水圧破砕法)禁止令も撤廃すべきだ。