検視ミスで、死因の取り違えや犯罪見逃しも…
M 岩瀬教授と柳原さんの共著『新版 焼かれる前に語れ 日本人の死因の不都合な事実』(WAVE出版)を読ませていただき、その内容に大きなショックを受けました。警察が遺体の外表だけを見て判断し、その結果、死因の取り違えや犯罪の見逃しがこんなにたくさん起こっているのですね。ご著書の内容をTwitterで紹介したところ、全国の春馬さんファンから、「日本の死因究明制度のずさんさを社会問題として訴えたい」という声が多数届いています。
R 私も衝撃を受けました。アザだらけの遺体にもかかわらず、警察が解剖にまわさず病死と判断し、火葬の直前になって遺族の訴えで解剖が行われ、暴行が発覚したケース。また、同僚の飲み物に睡眠導入剤を入れ、その後、同僚は交通事故死。しかし、警察が薬物検査をしなかったため、殺人疑惑を見抜けず再犯化したケースなど、警察の検視にはこんなに問題があることを知ってぞっとしました。
岩瀬 死因の取り違えや犯罪見逃しは、実際にはかなり起こっています。「検視官」は医師ではありません。法医学については一応研修を受けてはおりますが、そこで得た知識を正しく使えているかといえば別問題です。警察に悪意はないと思いますが、逆にそれが一番怖いですね。
たとえば犯罪の痕跡がないような場合で、親戚や関係者が「自殺です」と言っている、そうした場合、警察はそれ以上追及しないことが多いんです。ですから司法解剖にもまわってきません。私から見れば、まさに江戸時代のままという感じですね。この現実を大半の国民は知らないと思います。