YouTubeでの存在感は既存政党よりも上だった参政党(写真:つのだよしお/アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

 人生で初めての在外投票をした。

 海外に在住する邦人が海外から国政選挙に投票するためのものとして、「在外選挙制度」がある。これによる投票を「在外投票」と呼ぶ。

 昔は子供が幼かったので格安航空会社(LCC)を利用して頻繁に帰国していた。選挙の時に合わせて帰国することもあり、在外投票という概念は自分にはなかった。

 しかし去年、コロナ騒動で帰国することができない間に衆議院議員選挙があった。筆者の本籍地のある選挙区は、某大物政治家がいつも圧勝するので、あまり投票する面白みに欠けるというのが正直な感想である。ただ、この先、当分韓国に住むのなら、日本に行かなくても投票できるようにしておこうと、次の選挙のために大使館で在外選挙人登録をした。

 韓国に住む筆者が7月10日に参議院選挙が行われることを知ったのは、3月頃のことである。去年作った在外選挙人証を机の引き出しから出して、まじまじと見つめた。満を持して、韓国での投票に臨もうではないか。

 投票のほかに、大使館にも個人的な用事があった。午後からはソウルに住む友人と会う約束もして、スケジュールをみっちり詰めてソウルへと向かった。

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 15年ぶりに訪れた在韓日本大使館は数年前に移転して、新しいビルに入っていた。そのビルの入り口には警備の人が2人立っていたので、一目でそのビルに大使館が入っていると分かった。

 この大使館の移転についても、ひと悶着あった。

 以前あった日本大使館の建物は1976年に建てられたものだった。老朽化による建て替えのために2012年に地上6階地下3階に建て替える計画があった。周辺には李氏朝鮮時代の王宮の跡地、景福宮があるため、高さや外観に規制がかけられている。

 いちゃもんというかいじめというか、開いた口が塞がらないような言いがかりによって、現在も建て替え計画は進んでいない。しかし、実際に現在の建物は新しいビルで、デモができるようなスペースもなく、以前よりも安全と言えば安全かもしれない。この問題に対してもどう向き合うのか、尹政権の対応に注目である。