独立記念日に銃撃による大量殺人のあった米イリノイ州ハイランド・パークに追悼に訪れた人々(7月6日写真:ロイター/アフロ)

分裂してもパレードとショーヘイでは一致

 分裂を深める米国で米国民がこぞって合意できるのは、「Fourth of July」(独立記念日)と、そして(オーバーな表現をお許しいただければ)「大谷翔平」だ。

 右も左も共和党も民主党もこの2つのことでは意見が一致している。

 独立記念日の7月4日には、東部でも南部でも「ブルーステート」(民主党支配州)でも「レッドステート」(共和党支配州)でも市町村の消防署が開放され、地元のボランティアがパンケーキを作って市民に振る舞う。

 パンケーキはトーマス・ジェファーソン第3代大統領の大好物だった。

 パンケーキを食べた後は、市民は町のメーンストリートに繰り出してパレード。町中が星条旗の小旗やTシャツ、ハットや風船で埋め尽くされる。

 そして夜には、学校の校庭で花火大会に興じる。

 片や、「大谷翔平」の人気は党派を超え、人種を超えて今や米国民全員の「英雄」になっている。ある意味で「ショーヘイ」はもはや日本から来た稀有の選手ではない。

 ベーブルース以来、大リーグに出現した「歴史上の人物」になっている。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックで過去2年中止されていた独立記念日に、アメリカ合衆国は246歳になった。

 そのパレードの最中、ビルの屋上から立て続けに銃声が響き、パレードに参加していた市民や見物客に目がけて70発の銃弾が浴びせられた。

 今年に入って309回目の乱射事件だった。現場は、米イリノイ州の人口3万人のハイランドパーク市。

 ミシガン湖に面した、シカゴから北方40キロ離れたベッドタウン。人口の82%は白人、ラティーノ8.9%、アジア系3.6%、黒人1.5%。

 犯罪件数も少ない治安が維持された閑静な町だ。

 民主党が強く、2020年の大統領選ではジョー・バイデン氏が得票数の80%を獲得していた。