米連邦最高裁が、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。
これにより、全米の50州のうち南部、中西部の「レッドステート(共和党支配州)」26州が中絶の禁止や厳しい制限に動く。
1か月以内に最高裁判決に即して一切の中絶を犯罪として扱う州は、テキサス、ルイジアナなど13州。それ以後、犯罪行為とみなされる州は、ジョージア、オハイオなどの8州になりそうだ。
最高裁判決に従わない州はカリフォルニア、ニューヨーク、マサチューセッツ、ワシントン、オレゴン、ハワイなど「ブルーステート」(民主党支配州)16州だ。
中絶を犯罪とする州では、妊娠23週前後に中絶を実施した女性は、最高10年の禁固刑、最高10万ドル(約1350万円)の罰金を科せられる。中絶を実施したものは終身刑を受ける。
レイプされた女性、近親者による妊娠も例外とは認めない。
ジョー・バイデン大統領は6月24日、今回の判決(その草案はすでにリークされてはいるが)にこう反発した。
「今日という日は、最高裁にとってもアメリカ合衆国にとっても悲しみに満ちた日となった。最高裁は極めて危険な道を歩み始めた」
「女性の健康と生命は今や、危険にさらされることになった。最高裁を占める保守派判事の多くが、いかに極端で国民大多数の声に反する意見を持っているかがはっきりした」