小学校乱射事件にさすがの共和党もショック
米国内で銃乱射事件が相次ぎ、全米各地で銃規制の声が高まる中で、米上院の反銃器規制の野党共和党がやっと動いた。
11月の中間選挙を前に党を挙げていかなる銃規制にも反対してきた共和党の一角が崩れ、「21歳未満の銃購入者に対する身元確認の厳格化」を含む規制強化法案で民主党に歩み寄った。
銃規制法案としては、1994年2月28日に「ブレイディ法」*1が成立して以来28年ぶりだ。
*1=1998年に時限立法として制定された。①銃の販売に5日間の猶予期間を設け犯罪店に購入希望者の犯歴を警察に照会すること、②銃販売店に対し購入者の身元調査を求め、有犯罪者や麻薬中毒者、精神病者や未成年者への販売を禁止すること――などを義務付けている。
同法制定後、銃の所持率や殺人事件増加率は低下した。当初5年間の時限立法として制定され、その後5年延長されたが、政権が民主党から共和党政権に移行、2004年に延長されず、失効。法律名は、1981年のロナルド・レーガン大統領暗殺未遂事件で負傷したジェームズ・ブレイディ大統領補佐官にちなんでいる。
ジョー・バイデン大統領は、一連の銃乱射事件で使用された「AR-15」など殺傷力の高い銃の禁止を含む抜本的な改革を訴えてきたが、これは無理。
何しろ「銃保持の自由」を謳った憲法修正第2条を破棄することに真っ向から反対する米国民は6割強。民主党支持者では4割、共和党支持者では9割が反対している。10人に3人、8140万人は銃を持っているお国柄だ。
これだけ日常茶飯事のように銃による死者が出ているにもかかわらず、世論調査でどうすべきか質すと、
①精神異常者対策(メンタルヘルスケア)の強化や銃購入者の履歴調査の強化が80%台
②保持許可なしの携行反対、「レッド・フラッグ法」*2実施が70%台
③高性能の半自動小銃、襲撃銃販売禁止60%台と全面禁止などほど遠い。
*2=裁判所が自身や他人への脅威となると判断した個人への銃販売・所有を禁じた法律。現在カリフォルニア州など15州が同法を適用。