英国・ロンドンのロンドン塔(出所:Pixabay)

(藤谷 昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 海上自衛隊の練習艦「かしま」が6月22日、ロンドン市内を流れるテムズ川を通り、中心部の観光名所ロンドン塔近くに寄港した。「かしま」は、4月下旬に神奈川県横須賀港を出発した練習艦2隻のうちの1隻で、2隻には今春に幹部候補生学校を卒業した若手幹部約160人が乗り込んでいる。

 海自練習艦のロンドン寄港は6年ぶりで、英海軍の空母打撃群が昨年(2021年)、日本を寄港したことに対する返礼の意味合いがあるという。「かしま」甲板で記者会見した練習艦隊司令官の小牟田秀覚海将補は「今年は『日英同盟』締結120年の節目だ。訪問を通じて友好を深めたい」と述べた。8月下旬までに7カ国を訪問するほか、英海軍との合同訓練も予定されている(6月23日付け『読売新聞』)。

 この報道にある「日英同盟」(Anglo-Japanese Alliance)とは、日本とイギリスとの間で結ばれた軍事同盟だ。1902年1月30日に主にロシア帝国の極東進出政策への対抗を目的として締結され、その後、第2次(1905年)、第3次(1911年)と継続更新されたが、1921年のワシントン海軍軍縮会議の結果、調印された四カ国条約成立に伴って、1923年8月17日に失効した。

 香港の「一国二制度」の崩壊とロシアによるウクライナ軍事侵攻により、今、「日英同盟」の復活が現実化している。