軍事パレードに登場した中国軍のDF-26弾道ミサイル

(北村 淳:軍事社会学者)

 今から数年前までは、米海軍の対中情報分析担当者やシンクタンクの中国軍事専門家などの対中警戒派以外の米軍関係者や軍事専門家などの主流の人々は、中国海洋戦力が加速度的に強化されつつある状況を感覚的には認識しつつも、中国海洋戦力(中国海軍、中国空軍、中国ロケット軍)が名実ともに米海軍を脅かす存在になることを認めようとはしなかった。

 いくら中国海軍を中心とする中国海洋戦力が飛躍的に強化されているといっても、アメリカなどの先進軍事技術を模倣したり盗用したりして生み出した中国海洋戦力は張子の虎にすぎず、百戦錬磨の米海軍にとっては恐れるに足りない、と考えていたのである。

 米海軍首脳から多くの一般国民までが抱いていた米海軍戦力に対しての強固な自信は、米海軍だけがスーパー空母(戦闘攻撃機をはじめとする70機以上の各種艦載機を搭載する大型原子力空母)を保有しており、強力無比な空母艦隊を世界中に派遣することができるからであった。

 実際に、いまだに次のように考えている米軍関係者や政治家なども少なくない。