パイレーツの筒香嘉智選手(写真:AP/アフロ)

 脚光を浴びる側と、そうでない者がいる。どの世界にもある当然のコントラストだが、その構図は2022年シーズンのMLB(米メジャーリーグ)でプレーする日本プロ野球出身の日本人選手たちの間でも残酷なぐらいにくっきりと浮かび上がっている。

 ロサンゼルス・エンゼルスのツーウェイプレーヤー・大谷翔平投手、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手は今季もチームの主力として奮闘中だ。今季からトロント・ブルージェイズを新天地としている菊池雄星投手も先発ローテに名を連ね、6月4日現在まで2勝2敗。ボストン・レッドソックスの澤村拓一投手もMLB2年目の今季はマイナー再調整を一時言い渡されながらチーム事情によって僅か2日でメジャー再昇格を果たし、結局すぐにブルペンを支える立場へと戻されている。

 広島東洋カープからシカゴ・カブスへ移籍したルーキー・鈴木誠也外野手は左手薬指痛で負傷者リスト(IL)入りしたものの、開幕早々に週間MVPに輝くなどの活躍を見せたインパクトもあって米メディアから今季の新人王候補に挙げられている。

 一方、5人の日本人メジャーリーガーたちとは対照的に追い詰められた立ち位置にいるのが、ピッツバーグ・パイレーツの筒香嘉智内野手だ。

DHとしても出場が厳しい現状

 腰の筋肉を痛めて現在IL入りしているが、MLB3年目の開幕から極度の打撃不振が続いていることで早期復帰を求める声は聞こえておらず、地元メディアやパイレーツファンも不要論を一斉に唱え続けている。

 今季はここまで35試合に出場して打率1割7分7厘、2本塁打、15打点。欠場も8試合あり、チーム側は扱いに腐心しているのが現状だ。年俸総額400万ドルの1年契約をパイレーツと今季締結していながら、その費用対効果はどんなにひいき目に見ても十分とは言えない。

 IL入りした筒香に代わって昇格した22歳のベネゼエラ出身、トゥクピタ・マルカノ外野手がいきなり早々からメジャー初本塁打を含む2試合連続アーチをマークするなど長打力を印象付けたことも、筒香にとっては大きなマイナス材料だ。それまで筒香が主に就いていた一塁には打撃好調の26歳マイケル・チャビス内野手が代役として入り、定位置の座を確保しようとしている。

 フィラデルフィア・フィリーズからユーティリティープレーヤーとして緊急補強した台湾出身の張育成内野手が移籍加入以来、未だ本領を発揮できていないことから、「筒香はDHなら出る余地は残されているかも」というポジティブな推論も心優しい日本のファンから僅かながらに出ている。とはいえ、そもそも筒香自身も打てていないのだから打撃が本職となる大事なDHのポジションを任されるはずがない。