上海市長寧区の住宅に届けられる、住民が共同購入したスイカ(2022年4月24日、写真:ロイター/アフロ)

(馬 克我:日本在住中国人ライター)

 上海ロックダウン後、政府が上海市民に配給する食料は明らかに不足しており、封鎖地区の住民は主にメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」内でグループチャット「共同購入」を立ち上げて日々の食料を得ている。

「共同購入」は、食料不足問題を解決するため、同じ居住区画(主に集合住宅)に暮らす住民同士が作ったグループチャットだ。チャット内の仕切り役が、メンバーが必要としている食料や日用品を取りまとめ、メーカーや運送会社に連絡をとり、購入する。ちなみにグループチャットに参加するには、チャット内のメンバーからの招待が必要になる。

 ロックダウンによって商業と物流は制限され、政府が発行した食料輸送可能な通行証を持つ車両はごく限られている。それゆえ、1台の車両が可能な限り多くの食料を積載して搬送することになる。「共同購入」の参加メンバーは、その車両が運んできた大量の食料をみんなで分け合うというわけだ。

パンが買えないと訴えた大富豪

 2022年4月7日、スクリーンショットされたスマホの画像がSNS上で拡散された。その画像は、徐新(シュ・シン)という女性が仲間内に宛てたメッセージだった。そこにはこう書かれていた。