腎臓病以外の疾患にも効果が期待

――AIMが働かなくてゴミ掃除ができない猫は、腎臓だけでなく他にもトラブルが多いですね。

宮崎 たとえば、猫はふくふくとして可愛らしいですが、脂肪肝になっていることがとても多いです。AIMが働いていれば脂肪組織や肝臓に溜まる余分な脂肪を掃除できますから、肥満や肝機能障害などの脂肪肝に対してもAIMは治療効果を発揮するはずです。腎臓薬として使いつつ脂肪肝を抑えることができると考えています。

 マウスによる研究では急性、慢性問わずさまざまな炎症を抑えることもわかっています。まだ病気が起こる前や、起こっていても軽症のうちにフードを食べて、AIMが少しでも働くようにしておけば、腎臓病だけでなく猫がこれまで苦しめられてきたさまざまな炎症や疾患の予防や改善が可能ではないかと思います。

――飼い主が猫の様子をよく見ながら、フードをプラスしていくやり方はアリということですね。

宮崎 アミノ酸「A-30」をフードで摂取しAIMを働かせれば、少量のゴミは掃除できるので、理論的には与えるのが早いほど効果があると考えています。まだ汚れがこびりつく前から少しずつ水を流してきれいにしておくように、若くて病気になる前から原因となるゴミを少しずつ流し取っていくというのがフードの主な狙いです。

「どのような食べさせ方をすればいいか」というお問い合わせはたくさんいただいておりますし、いま与えている療法食をやめてAIM30に変えるかどうか悩まれる飼い主さんは多いでしょう。現在、「A-30」配合の療法食も開発を進めていますが、こちらは臨床試験が必要になるため時間がかかりますから、AIM治療薬のほうが先にできる可能性が現時点では高いかもしれませんね。

 療法食と一緒においしく食べてもらえるような、AIMを活性化できるおやつも開発中です。猫がすごく喜ぶおやつになると思いますので、療法食と一緒に食べてさせてもらえればいいですね。

 先ほど申しましたように、猫のAIMが働くことによる効果の種類や程度は、ある意味未知数な部分が多いのです。どのような変化、効果があったか飼い主さんたちからフードを与えている猫の様子をフィードバックしていただければ、今後フードをさらに改良していくためにとても役立つ情報になりますし、治療薬開発にも大きなヒントが得られるでしょう。体質や体調、食べ始めた時期は猫それぞれですから、どういう効果が出るのか私たちも注目していますし、それ自体が大きな研究成果になり得ると思います。