AIMを解き放つキャットフード、すでに腎臓が悪い猫に効果は?

――人間のAIMは加齢と共に減ると聞きましたが、猫も高齢になると働いていないにせよAIMが減るのでしょうか? フードで働くようになっても数が少ないのではと心配です。

宮崎徹氏(以下、宮崎) 人間のAIMは数万人を調べたところ、加齢と共に血液中にストックしてあるAIMの量が少しずつ減っていくのは確かですが、10分の1に減るような大きなものではなく、30歳と70歳では高齢者の方が統計学的に有意な差をもって低いという結果でした。

 猫の場合はAIMが外れたことがないため高齢でもあまり減らないようで、ストックされている量は人間の2~3倍あります。生涯が短いこともありますが、1歳と10歳でもほとんど量は変わらず、高齢の猫でも腎臓病末期など病気が燃えさかっているような状態でなければ、十分な量の働けるAIMをストックしていると言えます。

 ですから、高齢でもちゃんとAIMが出動すればゴミを掃除できるので、病気を予防したり治したりすることができます。

――もう腎臓が悪くなってきた、悪くなっている猫にフードは効くのだろうかという声も聞きます。腎臓疾患用の療法食を食べさせていることが多いのですが、それをAIM30に変えてもいいのだろうかと躊躇するそうです。

宮崎 腎臓はキャパのある臓器なので、老廃物などゴミがたくさん溜まって腎臓の広い範囲が傷んだ状態にならないと血液の数値には反映されません。ですから、体重が減る、食欲が減るなど症状が現れた時には、すでに末期であることがほとんどです。そうなると治療のためにはAIMを直接投与しなければ、効果を出すのは難しいと考えられます。

 すでに大量のゴミがたまって腎臓が相当傷んでいる状態に対して、どれくらいの働くAIMが必要かはまだ研究中です。その状態でも少しでもAIMが働くようになれば、尿毒素などを除去してつらい症状が和らぐ可能性もありますが、フードを食べさせてこれまで働くことのなかった猫のAIMを解き放って、どれだけ体調を改善できるのかは、正直なところやってみないとわかりません。

 ただ今回のフードは、これまでのAIMに関する基礎実験による科学的な根拠に基づいていますし、安全性は確認されているフードですから、安心して食べさせていただけます。しかし、治療中で腎臓療法食を必要としている猫たちについては、かかりつけの獣医さんに相談していただければと思います。