ロシアへの経済制裁が行われる中、ロシア中央銀行の金融市場対応に注目が集まっている。ロシアの政策と今後の注目点について、元日銀金融市場局長として市場調節に関わってきた山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第78回。
ウクライナ侵攻に伴う国際社会のロシアへの経済制裁は、外貨準備の凍結(2月28日以降)やSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシア7銀行の除外など、金融面の措置がかなりの部分を占めています。
また、これらが狙う効果も、通貨ルーブルやロシア国債の格下げ、資金調達の困難化、インフレ高進などであり、ロシアの中央銀行に関連する部分が多くなっています。
そこで本稿では、経済制裁の中でロシアの中央銀行がどのようなことをしているのか、見ていきたいと思います。
「G20プロセス」とロシア
ロシアの中央銀行であるロシア連邦中央銀行(Central Bank of the Russian Federation、以下「ロシア銀行」)は、1860年に設立された国立銀行を前身としています。その後、同行はソ連国立銀行(State Bank of the USSR)となり、さらにソ連崩壊後の1995年に正式に現在の名称となりました。
2008年、初めての「G20サミット」が行われるとともに、国際的な政策議論の枠組みがG20中心へと大きく変わりました。各国際機関は、「G20から指示を受け、検討の結果をG20に報告する」という「G20プロセス」を意識した運営を行うようになりました。これを受け、さまざまな国際機関が、G20加盟国を新たにメンバーに加える動きが進みました。