(写真:Abaca/アフロ)

 ロシアへの制裁として、SWIFTの国際送金ネットワークからロシアの7銀行が外された。SWIFTとは何か、そしてこの措置が何を意味するのか、SWIFTの「オーバーサイトグループ」のメンバーであった山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第75回。

 SWIFTとは、国際銀行間金融通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の略称です。SWIFTは1973年、当時の国際間送金の手段として使われていたテレックス(Telex)を代替するため、銀行の協同組織として設立されました。現在では200以上の国や地域に存在する約1万1000の銀行をつなぐネットワークとなっています。

国際コルレス送金

 例えば、ある国のAさんが別の国のBさんに国際送金を行う場合、まず、両国に本支店網を持つ銀行を使う方法が考えられます。しかし現実には、AさんやBさんが口座を持っている銀行が、両国に本支店網を持っているとは限りません。そこで使われる方法が「コルレス銀行(Correspondent Bank)」を用いる「国際コルレス送金」です。

「コルレス銀行」は国際的な大銀行が務めます。上記の場合、Aさんが口座を持つa銀行に送金を依頼すると、a銀行は、コルレス銀行(c銀行)に口座を持つb銀行にこの送金を依頼します。一方、Bさんが住む国の銀行であるd銀行もc銀行に口座を持っています。そして、b銀行とd銀行の間で口座の増減が行われ、d銀行からBさんが口座を持つe銀行に国内送金が行われ、送金が完了します。

コルレス銀行送金

 このような長い仕組みを完結させるには、「この送金が最終的にどこの銀行の誰の口座に入るのか」というメッセージを関係銀行が共有し、同じフォーマットで処理できる必要があります。かつてこの役割を担っていたのは「テレックス」でした。そして、これを統一し電子的な処理を可能にする目的で、SWIFTが設立されたわけです。