ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるオレクシー・アレストビッチ氏によれば、飛んでくるミサイルは4発に1発の割合で迎撃されている。
1発は軍事目標に着弾し、残る2発が一般市民の目標に当たっているという。
「連中がキエフで一般市民を狙っているとは、自分には言えない。ただ、的を外していることが多い」と語り、キエフ以外では住宅地だと承知のうえで攻撃していると付け加えた。
目撃者が語るマリウポリの惨状
マリウポリはそうした残虐行為の典型例だ。
ロシア軍の空爆が始まったのは3月10日のことだ。キエフとは異なり、ここには防空施設がない。程なくして、落ちてくる爆弾の数が1日数個から数十個に増えた。
3月16日にはロシア軍がプールや映画館、劇場にミサイルを撃ち込んだ。いずれも市民の避難所として使われていた施設だ。
攻撃の前日に現場にいた目撃者によれば、劇場には1000人を超える人がいた。劇場の外の歩道には、大きな文字で「子供」と書かれてあったが、攻撃を防ぐ効果はなかった。
何人が生き延び、何人が生き埋めになった可能性があるのか、現時点では分からない。
ほかの9つの都市や町では、ロシアとウクライナの協議によって、一般市民が避難に利用できる人道回廊が設けられた。
マリウポリについては、そのような協議が成立していない。状況が悪化するにつれ、すでに危険な避難ルートはますます危険になっている。
溶接工のオレクサンドル・ホルバチェンコさんは、マリウポリを脱出した3月18日には街はもう壊滅状態で、市の行政サービスは止まり、飲み水も食料もなかったと教えてくれた。建物の少なくとも80%は爆撃で破壊されていたという。
「中心部が丸ごと廃墟と化している。針金やガラスがそこら中に散らばっている。最悪なのは街中に死体がゴロゴロしていること。中央市場の近くには、腐りかけた遺体が何百と転がっている」