1970年代にコンビニが日本で誕生してから半世紀が経つ。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社が全国展開し、その他、北海道を地盤とするセイコーマートなどは独自展開でがっちりと顧客のハートを掴んでいる。だが一方で、コンビニ業界はいま、大きな変革期に差し掛かっている。少子高齢化、人口減、コロナ禍、働き方の変化、EC・デリバリー拡大、健康志向……など社会環境が激変していく中、どう生き残りを図ろうとしているのか。
まずは、コロナ禍前の2019年と2021年のコンビニ業界の経営実態をみてみよう。日本フランチャイズチェーン協会(JFA)加盟7社(セイコーマート、セブン-イレブン、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、デイリーヤマザキ、ローソン)の売り上げ、店舗数、来店客数の推移は以下の通りだ。
●売り上げ:2021年/年間10兆7816億円(前年比+1.1%)
2019年/年間11兆1608億円
●店舗数:2021年/5万5950店(12月)
2019年/5万5620店(12月)
●来店客数:2021年/155億7720万人
2020年/159億173万人
2019年/174億5871万人 *いずれも全店ベース
店舗数こそコロナ前より増えているが、売り上げや来店客数は減っている。巣ごもり需要が伸び、客単価は633円から695円に上がっているが、外出自粛や行動制限の影響を受けたことがうかがえる。
24時間営業で利用客のあらゆるニーズに応えようと改革を積み重ねてきたコンビニ業界だが、コロナでライフスタイルが大きく変わり、他業種との顧客争奪も激化。従来のビジネスモデルでは、これ以上の成長が難しくなってきているのだ。
そうした状況下で、アフターコロナを見据えたさらなる進化、新たなコンビニ像の実現に向けた動きが始まっている。中でも業界3位のローソンは、2020年10月に「ローソングループ大変革実行委員会」を立ち上げ、他チェーンとの差別化を図ろうとしている。