岸信夫防衛大臣(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 ウクライナへのロシアによる軍事侵攻が続く中、3月5日に北朝鮮が日本海に向けて飛翔体を発射した。

 今年に入って9回目で、ロシアが2月24日に軍事侵攻をはじめてからは、27日に次ぐ2週連続の2回目だ。その前の北京冬季オリンピックの大会期間中はなかった。米国の報道によると、中国はロシアに北京大会が閉幕する前のウクライナ侵攻はしないよう要請していたとされるが、まさにロシアは北京大会が閉幕して侵攻を開始した。要請の有無はともかく、北朝鮮も足並みを揃えていたことは容易に想像がつく。

 ただ、いまはパラリンピックが同じ北京で開催中だ。オリンピックはダメだがパラリンピックはいい、というのであれば、この3国は障害者差別、人権軽視をあからさまにしている。

北朝鮮は日本の抗議を全く意に介さず

 5日の発射を受けて、岸信夫防衛大臣は記者団に「国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応しているなか、また北京パラリンピック開催中の発射であり断じて容認できない」と毅然と述べ、「(国連の)安保理決議に違反するものであり、強く非難する」として、北京の大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにした。

 そのわずか6日前の先月27日にも、北朝鮮の飛翔体発射を受けて、岸防衛大臣は同じ防衛省で「国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中で間隙を狙ったものなら、断じて容認できない」と発言し、やっぱり「安保理決議にも違反するものであり、強く非難する」と述べて、北朝鮮に対して大使館ルートを通じて抗議した、としていたはずだった。

 まったく同じことを繰り返しているだけだ。まして、北朝鮮に「抗議した」はずなのに1週間も経たずにまた発射されたとなると、日本の抗議など相手にもされていないことになる。