韓国大統領選のテレビ討論会に出席した候補者(左から李在明、安哲秀、沈相奵、尹錫悦の各氏、2月21日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 2022年3月9日投開票の韓国大統領選挙まであと1週間になった。最新の世論調査では有力2候補がほぼ同じ支持率で並ぶ大混戦になっている。

 ウクライナ情勢、オミクロン感染者の急増に加えて北朝鮮のミサイル発射など大型ニュースが相次ぐ激動期の大統領選挙になった。

 2月27日に公表になったKBSと韓国リサーチの世論調査によると、与党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン=1963年生)候補と野党・国民の力の尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)候補の支持率がともに39.8%で並んだ。

世論調査は「ほぼ同率」

 2月25日に発表になった韓国ギャラップ研究所が毎週実施している世論調査では、李在明候補38%、尹錫悦候補37%だった。

 1週間前には、尹錫悦候補41%、李在明候補34%で7ポイントがあったが、わずか1週間で「逆転」してしまった。

 ギャラップの調査では、文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領の政策遂行支持率も、1週間前に比べて3ポイント上昇して43%となった。

 依然として、有力候補より高い支持率を維持している。もっとも、支持しない、は51%と依然として支持を上回ってはいる。

 大統領選挙については、2月半ばになって尹錫悦候補優勢の世論調査発表が相次いでいたが、最終盤になって大接戦になっているというのが「世論調査の趨勢」だ。

 尹錫悦候補が一気に突き放せなかったのは、国民の党の安哲秀(アン・チョルス=1962年生)候補との一本化が進まなかったことに加え、「政治報復」発言など、インタビューやテレビ討論での不安定な発言が影響を与えたとみられる。

 安哲秀候補は、KBS調査で8.2%、ギャラップ調査で12%の支持率を集めている。

 安哲秀候補は、2月27日、「すでに時間切れだ」と候補一本化の可能性を否定した。だが、尹錫悦候補は「希望を捨てない」と述べており、投票前日まで一本化が焦点となる可能性もある。

 それにしても、この時期になっても、40%を突き抜ける候補が現れないということは、それだけどの候補にも満足しきれない有権者が多いということでもる。

 大混戦とはいうが、韓国内が大統領選挙の話題一色で熱くなっているのかと言えば、全くそんなことはない。