(田中 美蘭:韓国ライター)
連日、新規感染者数が最多を更新しているオミクロン株の猛威や3月9日に控える大統領選挙に関心が集まっている韓国だが、一方で、昨年末から続いているストライキが波紋を広げている。
韓国の宅配市場においてトップシェアを誇るCJ大韓通運のソウル本社で起きているストライキだ。宅配業者で結成される労働組合の組合員が本社を不法に占拠している。
「闘争天国」とも言える韓国を象徴するかのようなストライキの裏には、現政権が労組寄りの姿勢を取ってきたことも大きい。
韓国ではスマホ一つで飲食物のデリバリーから、ショッピングまで簡単にできるため、宅配がほぼ生活の一部となっている。高層アパートが立ち並ぶ都市部では、1日のうちに宅配やスーパーのデリバリーのバイク、トラックが入れ代わり立ち代わり往来し、配達員が大量の荷物をカートに載せながら各棟、各階を回る姿が見られる。
デリバリーやショッピングの需要は以前から旺盛だったが、過去2年間のコロナ禍によって、それはさらに急増した。
ただ、需要の高まりとともに、宅配業者の負担は増大しており、勤務中の事故や過労死といった問題も度々起きている。そのため、全国民主労働組合総連盟の傘下にある宅配労組は待遇改善を求めて、昨年末にストライキを決行した。その参加者の一部が、今月に入って、CJ大韓通運の本社内で座り込みを続けている。
日本でも春闘の時期が近づいているが、韓国は「闘争天国」と言っても過言ではないほど企業と労組の対立が激しく、労組側の言い分や要求も無茶なものも多い。