(福島 香織:ジャーナリスト)
2月4日のプーチン・習近平会談は、予想を上回るほどの中身はなかったように思える。重要な内容は中ロのエネルギー協力で、中ロ関係がウクライナ問題で具体的に連携するといったものではなかった。この会談に国防情報官僚は参加しておらず、軍事・インテリジェンス協力に関する合意はなかった模様だ。
中国語で7000字に及ぶ共同声明では、ロシア側は台湾が中国の不可分の領土だと改めて確認したが、そのこと自体は新しい内容ではない。中国はNATO拡張への反対を確認しているが、「ウクライナ」には言及しなかった。中国は公式にはクリミア併合を承認していない。お互い、対立する国家の核心的利益の問題は避けて言及せず、米国を名指しで批判するところに関しては団結を強化した印象だ。
プーチンは五輪開幕式で習近平と離れたところに座り、ほとんど居眠りをして、終わったらさっさと帰国した。このつれなさを見ると、やはりこの2人が本当に親密で信頼し合っているとは思えない。
だが、「新型大国関係」という言葉を用いて、新たなグローバルガバナンスのために手を取り合うという方向性を打ち出したことは、やはり気になる動きだ。こうした中ロの反米結束は今後国際社会にどういった影響を与えるのか。歴史上最良といわれる中ロ関係の蜜月が、例えば軍事同盟に発展するようなことはあるのだろうか。
ウクライナから自国民を避難させない中国
まずウクライナ問題に対する中国の立場を整理する。米国が、外交官をキエフから撤退させている一方で、中国は自国民や外交官のウクライナ退避を勧告していないのはなぜか。昨年(2021年)のアフガニスタンの米軍撤退に伴う混乱時は、中国はチャーター便を出して自国民の脱出を手伝った。