「次なる市場」に向けられる熱い視線

 保守的なお国柄と言われるサウジアラビアでも、日本のアニメが熱い。エンターテインメント産業はこれまで「堕落につながる」として禁じられてきたが、「脱石油依存経済」を掲げるサウジアラビア王室が、日本アニメを受け入れる姿勢に転じた。現在、サウジアラビアでは「ShufuTV(シュフティービー)」が日本のコンテンツに絞った放映を行っている。

 西浦さんが駐在していたドバイには、通称「ドバイ・コミコン」と呼ばれる中東のアニメファンの集まりがあるという。年1回開催されており、多い時には来場者が4万人を超え、クウェートからチャーター便で乗り込んでくる人たちもいるそうだ。

 一般社団法人日本動画協会によれば、日本のアニメの海外における売上は、この10年で4倍以上に成長した。2010年に2867億円だった海外市場は2020年には1兆2394億円となり、国内市場の1兆1867億円を上回った。中東と北アフリカを併せた地域は、違法ダウンロード問題の解消が急がれつつも、次なる市場として熱い視線が送られている。

 2022年は、日本とUAE、オマーン、バーレーンの外交樹立50周年、日本とイスラエルの外交樹立70周年を迎える。そんな特別な年に、日本のアニメは中東との距離をぐっと縮めてくれそうだ。