全国の新規感染者数が昨秋から減り続け、東京都でも11月には1桁の日も出てきたとき私は、少なくとも日本国内では「終息」するのではないか、とすら思っていた。その11月の末に登場してきたのが、変異株「オミクロン株」だった。

 南アフリカらWHOに最初に報告されたのが11月24日。そのわずか2日後の26日には、WHOがVOC(懸念すべき変異株)に指定。世界各国に急速に警戒感が広まると、日本でも30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止した。その措置は現在も続く。

 にもかかわらず、抜け穴のように日米地位協定によって検疫が免除された沖縄の米軍海兵隊基地や岩国基地から、市中に感染が広まると、政府は今月9日から、沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置を適用。感染は全国に広まり、先週は東京都で連日、1000人単位で新規感染者が急増している。オミクロン株による「第6波」に突入したといえる。

 【参照】米軍基地からオミクロン、これが同盟国のすることか
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68352

感染力は強いが潜伏期間は短いオミクロン株

 オミクロン株は、重症化のリスクは低いが、それまでより感染力が強いとされる。これまで以上の感染の急拡大も頷ける。

 そこで浮上したのが、社会機能の維持だ。感染者の急増に伴い、濃厚接触者も急増する。濃厚接触者は従来14日間の待機期間が必要とされ、感染者1人に4〜5人の濃厚接触者がいるとされる。全国の新規感染者は先週末の14日から16日まで連日2万人を超え、濃厚接触者は1日に8〜10万人も増えたことになる。このままでは、濃厚接触者の拡大による待機、欠勤で働く人手が不足する。それが医療従事者から公共交通や物流、介護、保育などのエッセンシャルワーカーにも広がれば、社会機能が維持できなくなる。すでに沖縄では医療従事者の欠勤が1000人規模に達し、救急医療も制限されるといった影響が出た。

 そこで政府は、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間を14日から10日に短縮した。国立感染症研究所によるとオミクロン株は発症までの潜伏期間が平均3日程度とされ、それまでの5日程度よりも短い。それが理由だ。「エッセンシャルワーカー」として自治体が指定する職種については、待機6日目のPCR検査で陰性ならば待機を解除する。専門家の中には10日からさらに短縮すべきとの声もある。