韓国の外為ディーリングルームでKOSDAQ指数を表示しているディスプレー(2021年11月26日、写真:AP/アフロ)

 2021年12月、ソニー生命保険の社員が海外子会社の口座から約170億円をだまし取った事件が発覚したのは覚えておられると思う。

 同じ頃、実は韓国でも同様な巨額詐欺事件が発生していた。

 自分の会社の口座から1880億ウォン(約188億円)をだまし取り、韓国社会を震撼させた。

 日本のその社員はビットコインに全額投資し、回収時には約207億円になっていたというが、韓国の場合は株、不動産、金塊など様々な投資先でポートフォリオを構成し、株では大損していたことが判明している。

「オステム・インプラント(時価総額2兆ウォン(約2000億円)」いう韓国のインプラント大手の会社が年明け早々株の取引き中止を命ぜられたという報道があった。

 続いて、「オステム・インプラントの社員が会社の自己資本の91.81%に該当する1880億ウォンを横領し、当人はそれが発覚する1日前から無断欠勤している」と、報道された。

 その後、被疑者は逮捕されたものの、横領被害額は自己資本の108.18%に当たる2215億ウォンに膨れ上がった。

 被疑者はオステム・インプラントの会長が横領事件に絡んでいると述べたり、被疑者の父親は事件への関与を否定し、自殺するなど、どろどろの韓国ドラマのような展開になっている。

 この事件の顛末を紐解いてみよう。これには、日韓の対立という政治的な要素も多少含まれている。

 2021年10月5日「ドンジン・セミケム(DONGJIN SEMICHEM)」という企業に対し、フェイクニュースが出回った。