ディーゼル車の排ガス浄化に欠かせない尿素水の不足で韓国の物流が一部でストップ、経済に深刻なダメージを与えかねない状況になっている

 このところ韓国では尿素水が不足し、大混乱を引き起こしている。

 尿素水とは、SCR(選択触媒還元)に使用される還元剤で、ディーゼル車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化するものである。

 環境問題の高まりから、尿素水はいまやディーゼル車には欠かせないもとなっている。もし尿素水がなくなると、ディーゼル車はエンジンがかからなくなったり、止まるようになっている。

 なぜ、急に韓国で尿素水が不足しているのか。これにはバタフライ効果があったと言える。

 ことの発端は、中国と米国の経済摩擦だ。

 中国と米国という2つの大国が政治的・経済的に対立し、外交問題に発展した。

 米国や英国などと価値観を共有する豪州は、米国に追従する形で中国のファーウェイ製品に強い規制をかけ、5Gネットワーク参入を禁止した。

 これに対して中国は豪州からの木材、牛肉、ワイン、銅、綿花、石炭などの輸入を制限した。

 ちょうど環境問題に熱心に取り組み始めた中国は、石炭使用を制限しようとしていたことも輸入制限に拍車をかけた。