不動産価格の上昇は韓国のサラリーマン世帯を直撃している(写真はソウル市内のニューススタンド)

 韓国では、新型コロナウイルス感染症の流行で落ち込んだ経済から比較的早く脱出し、景気回復基調に乗っている。

 住宅投資や株式取引高の増加により、2021年7月までで今年度の税収が前年同期比55兆ウォン(約5.5兆円)ほど多くなった。

 7月の1か月間だけでも税収は前年同期比6兆3000億ウォン増えた。

 不動産政策の失策により住宅価格がうなぎ上りに高騰したため、譲与税や取得税が増加しただけでなく、公示価格を見直したことでさらに財産税などの税収も増えたからだ。

 加えて、2020年にはサムスン電子の会長が亡くなり、莫大な相続税が分割で韓国政府に入ってくることになっており、政府の懐は温かい。

 正直、あれだけ政権を握る前には強調していた「不動産価格を抑えてみせる!」といった言葉が虚しく聞こえるほどに全国の不動産価格は高騰した。

 明白に不動産政策には失敗しているのに、いまだに自分たちの非を認めず、投機勢力が悪いと言っていることに対しては腹が立つ。

 いや、怒りを通り越して、初めから不動産価格を高騰させて、税金を分捕るつもりだったのではないかとさえ疑ってしまう。

 実際のところ、この税収増のおかげで韓国政府には政策の幅が広がった。