爪とぎをしたのか、シートがバリバリです。スクーターの持ち主に、猫を叱らないのかと聞いてみました。「叱るだって!? どうしてさ? 無駄なことだよ。猫をはたき落としている人を見たことがあるけど、品のいいことじゃない。そんなことをしなくても、出かけるときにエンジンをかければ、猫はいなくなるよ」。なんだかジーンとしました。

 その2時間後。あれ、この三毛模様、見たことがある気がすると、写真データをカメラで再生したら、確かにさっきスクーターに乗っていた猫でした。お腹が空いて、ケバブ屋さんへおやつをもらいにやって来たところです。

 マルマリス湾につながる運河には、漁船や個人所有のプレジャーボート、観光船などが係留されています。休んでいる船に乗って昼寝をしている猫がいました。その様子をそっと撮ろうとしたのですが、瞬時に気づき、足元まで来てポーズを取りました。

 かと思うと、運河沿いの塀の上で寝ていた猫は、こちらに気づいていながらもそのまま寝ていました。とても発色のよい縞柄三毛さん、思わず手が伸びて背中をなでましたが、少しも動きませんでした。