坂東はこれまでも数々の難役を演じてきた。杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、橋本環奈ら、いまやほとんどが超絶人気者となった俳優たちがずらりと名を連ねる『十二人の死にたい子どもたち』の12人の1人で、現在はドラマ「真犯人フラグ」に出演している注目の俳優。本作は約3年前に撮影されたというが、その演技力に舌を巻く。
愛を探す2人の普遍的なラブストーリー
やがて一緒に暮らし始めた2人。保育士になるほど、子ども好きなユイは親になることが幼い頃からの夢だった。ただ、いくら真也を愛していても、真也の子どもを産むことはできない。周りの友人が妊娠・出産をするなか、いたずらに過ぎていく日々にユイは焦り始める。ユイの気持ちに気づいた真也は別れを切り出し、2人は別々の道を歩むことにする。
産んでも後悔、産まなくても後悔といわれるほど、女性の人生にとって、出産は最大のターニングポイント。ましてや産みたい人が皆、産めるわけではない。片山友希演じるユイの焦燥感、苛立ちに共感する女性も少なくないはずだ。
ユイはレズビアンだったわけではなく、愛した男性がたまたまトランスジェンダーだった。真也は自分が巻き込んだユイの人生をどうしたら幸せにできるのか、思い悩む。それはトランスジェンダーだからではなく、誰もが愛した相手に感じる不安や責任ではないか。
飯塚監督は言う「この作品はLGBTQの人の辛さを伝えたいのではなく、愛を探していく究極のラブストーリーでもある」と。
互いに忘れられずにいたユイと真也は再会して、互いの気持ちに気づく、再び一緒に生きる選択をした2人。そうして、下した結論とは?