韓国大統領選挙に出馬表明した「国民の党」の安哲秀氏(2021年11月1日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 正月早々、韓国の大統領選挙が大騒ぎになった。1月3日、保守系最大野党の「国民の力」で選挙対策委員会を構成する主要メンバーが揃って辞意を表明したのだ。

「国民の力」の大統領選候補は、元検事総長の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏である。尹氏と「国民の力」代表の李俊錫(イ・ジュンソク)氏の間で確執があると報じられてきたが、ここに来て李代表の側近たちとの対立もついに表面化した。それに伴い、李代表の責任論も浮上している。

 これを受け、対する与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は、「当選した暁には韓国経済を飛躍的に成長させる」などの発言で攻勢をかけている。これまで2人の支持率は30%台で拮抗していたが、李候補にしてみれば、支持率をアップさせるまたとないチャンスである。

 尹候補をめぐる今回の事態は、ある程度予想できていた。というのも、公認候補になる前から様々な不安材料があったからだ。