(廣末登・ノンフィクション作家)

 全国の自治体で暴力団排除条例(以下、暴排条例)が施行されて、10年が経過した。この暴排条例は、それまでの「警察vs暴力団」の構図を、「社会vs暴力団」としたもので、暴力団員や周辺者を「暴力団員等」として社会から排除するものである。

 この10年で、暴力団を社会から排除するという目的はかなり達成できたと言っていいだろう。

暴力団員の減少に寄与した暴排条例、一方で副作用も

 暴力団の数(構成員、準構成員)は、警察白書などによると、暴排条例が全国で施行された2011年の7万300人から毎年減少している。

 2021年4月の警察庁の発表によると、昨年末時点で、全国の暴力団勢力は2万5900人と、前年より2300人(8.2%)減っている。これは、16年連続の減少で、同庁は要因を「取り締まりや社会の暴力団排除活動が進み、資金獲得がいっそう難しくなっている」と分析している。

 暴力団の組織に所属する構成員は前年より1100人(7.6%)少ない1万3300人、組織に所属しないが資金面などで活動に協力するといった準構成員などは1100人(8.0%)減の1万2700人だった。

 こうしたデータを見る限り、暴排条例の施行は、一定の成果を収めているようだ。しかし、一方で、暴力団員等による特殊詐欺の増加などの問題も指摘されており、10年という区切りを機に、暴排条例の作用と副作用を、詳細に検討する時期に来ているのかもしれない。