日系百貨店でも扱われた中国ブランドのスニーカー(上海にて筆者撮影)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 中国でZ世代(1990年後半~2000年代に生まれた世代)を中心に、中国ブランドを身に着け、中国的な要素が入った着こなしをする若者が増えている。

 こうしたトレンドを「国潮(グオチャオ)」といい、中国メディアは「Z世代が自国の文化に自信を持っていることの証し」だと報じる。だが「国潮」に映し出されるのは、前向きな自信ばかりではない。

中国ブランドに誇りを感じるZ世代

「中国では若い人たちの間で、裾や袖の長い漢服が流行っています」――こう話すのは四川省出身で都内に住む1990年代生まれの中国人A君だ。唐の時代に流行した漢服は、清の時代に満州族が着た旗袍(チーパオ、いわゆるチャイナドレス)とは異なり、漢民族の伝統的な服装だといわれている。

 今年(2021年)、東京の企業に新卒として入社した福建省出身のBさんが使っているのは、「花西子(ファーシーズ)」(FLORASIS)という中国ブランドの口紅だ。花西子は中国の伝統色であるバイオレット(紫色)をブランドカラーにし、アイメイク商品には漢方を配合している。中国で人気に火が点き、今年3月からはアマゾンで販売を開始し、日本でも購入できるようになった。

花西子(ファーシーズ)の口紅「百花同心錠 彫刻リップ」(花西子ホームページより)