2022年5月に行われるフィリピンの正副大統領選は、11月15日にこれまで立候補を届け出た政党候補者の入れ替えの締め切りを迎え、最終的な候補者が出そろった。
動静が注目されていたドゥテルテ大統領の長女で高い人気を持つダバオ市長のサラ・ドゥテルテ氏は、「ラカスCMD」から副大統領に立候補することになった。それだけでも国民の関心を集めているのだが、彼女とタッグを組んで大統領に立候補するのはマルコス元大統領の長男フェルナンド・マルコス・ジュニア(愛称ボンボン・マルコス)氏だ。現大統領の娘と元大統領の息子という二世同士が手を握り合って選挙に臨むことになった。
(参考記事)比大統領選でマルコスJrが快走、あの暗黒の記憶は消えたのか〈https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67435〉
娘の副大統領立候補で父・ドゥテルテも変心、政界引退を撤回
一方、父親のドゥテルテ大統領については、娘のサラ氏が最大与党「PDPラバン」ではなくラカスCMDから立候補することになったのを受け、自身も副大統領へ立候補して父娘対決が行われるのではないか、との観測が流れていた。しかしドゥテルテ大統領は、立候補差し替え届け出最終日の15日ギリギリになって、自身が名誉総裁を務めるPDPラバンを離党、自身の支持者によって結成された「血盟連邦党」(PDDS)という少数政党から上院議員候補として出馬することを選挙管理委員会に届け出た。こうしてサラ市長との副大統領をかけての親子の選挙戦は回避されることになった。
フィリピンでは大統領の再選が憲法で禁じられている。そのため大統領退任が確実なドゥテルテ大統領は当初、副大統領としての出馬を検討していた。
10月8日の立候補受け付けを前に断念、PDPラバンからはロナルド・デラ・ローサ上院議員を大統領候補、ドゥテルテ大統領の腹心であるクリストファー・ボン・ゴー上院議員を副大統領候補として届け出ていた。しかし、もしドゥテルテ大統領が副大統領に選挙で選ばれた場合、大統領が任期中に何らかの理由で退任するようなことになれば、副大統領のドゥテルテ氏が大統領に昇格する可能性があった。これが「憲法の再選禁止規定に抵触する」との批判が巻き起こった。