双竜建設が建てたマリーナベイサンズ。双竜建設はその後、倒産した(写真:Ian Berry/Magnum Photos/アフロ)

 10年前に、5歳の息子を連れて夫の故郷である韓国に渡った立花志音氏。息子の成長とともに韓国社会に感じた違和感を綴るコラム。今回は韓国は本当に先進国になったのか。

◎立花志音氏の過去の原稿は以下をご覧ください。
https://jbpress.ismedia.jp/search/author/%E7%AB%8B%E8%8A%B1%20%E5%BF%97%E9%9F%B3

(立花 志音:在韓ライター)

 この夏、韓国は一つの話題に沸いていた。国連貿易開発会議(UNCTAD)が韓国を開発途上国グループから先進国グループに移行したと発表した一件だ。文在寅大統領は「国連加盟国の全会一致で我が国は名実ともに先進国という点が国際的に認められた」とし、「国民も血と汗で成し遂げた誇らしい成果という自負心を持ってほしい」と発言した。

 UNCTADは開発途上国の産業化と国際貿易への参加増進を支援するため、1964年に設立された国連傘下機構である。開発途上国から先進国への移行を認めたのは韓国が初めてなのだそうだ。

 今さら何が先進国なのだろう。韓国が経済協力開発機構(OECD)に加盟したのは1996年のことで、その頃から先進国扱いになっていたと筆者は勝手に思っていた。

 韓国人の友人の話によると、今回の先進国入りはこの国のコロナに対する防疫処置が認められてのことなのだという。

 例えば、シンガポールは科学技術が発展した観光大国だが、先進国ではない。だから、韓国はシンガポールより上で、アジアでは日本に次いで2番目に先進国入りを果たしたと、息巻いていた。韓国人は、何の話にでも順位をつけるのが好きな民族だとつくづく思う。

 では、我が家の中3の息子はどう考えているのかと食事の時間に聞いてみた。すると答えはこうだった。

「笑っちゃうね、この国のどこが先進国なの? シンガポールの方がよっぽど先進国じゃない? 街もきれいだし。しかもあのホテルを作った会社、倒産したんでしょ。ビルのアフターサービスとかどうしてるんだろうね? ばっくれなの?」

 質問が終わる前に被り気味でバサッと切られてしまった。10代は恐ろしく正直である。