(羽田 真代:在韓ビジネスライター)
10月31日、12日間にわたって行われた第49回衆議院議員選挙が終了した。結果はご存じの通り、現職幹事長が小選挙区で敗れるという波乱のあった自民党だが、過半数の議席確保は単独でクリア。自民党は合格ラインを越えた。
一方の野党は立憲民主党が12.7%、共産党は16.6%と共に2ケタ減となり、野党共闘の2党が共倒れした。甘利幹事長の敗退に、共産党の志位委員長は「野党共闘の成果」だと述べ、一部には「野党共闘、確かな効果」と報じるメディアもあるが、少々苦しい言い訳に聞こえる。
一方、今回の衆議院選で大きく議席を伸ばしたのが日本維新の会だ。11しかなかった議席は約4倍にあたる41議席まで増加している。
この維新の躍進は韓国でも報じられた。
聯合ニュース「日本 総選挙で右翼性向“維新の会”第3党躍進」
ハンギョレ「“吉村人気”背負った日本維新の会、第3党躍進」
京鄕新聞「日本 衆議院選挙の“本当の勝者”、右翼政党 日本維新の会」
記事のタイトルを見てお分かりの通り、「日本維新の会=右翼政党」というイメージがすっかり定着しているようだ。韓国では「自民党=右翼」が常識となっている。
今回の衆議院選で日本維新の会が掲げた外交・安保公約は自民党と類似している点が多く、それで「維新=右翼」というイメージにつながったと思われる。
韓国メディアが指摘した類似点は下記の通りだ。
・国防費の強化し、世界平和へ責任が果たせる国へ
-防衛費の国内総生産(GDP)1%桁を撤廃
-テロ、サイバー・宇宙空間への防衛体制を強化
・自由主義国家との関係強化、自由貿易による経済活性化
-日米同盟を基軸とし、日米英印豪台などとネットワークを通じて日本の防衛力向上を図る
・教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所を憲法の明記
-憲法改正と合わせ、教育無償化と憲法裁判所の設置などを明示(※改憲賛成ではあるが、憲法9条改憲を主張する自民党とは温度差がある)
日本の国防費増加や自由貿易を批判する韓国民にとって、“右翼”とする自民党とこれだけ公約が似ていれば、韓国メディアが「維新=右翼」と言い切るのも無理はない。
また、大阪府知事でもある吉村洋文副代表は2021年6月に、大阪府立の展示施設が慰安婦像などの展示を目的とした「表現の不自由展・関西」の施設利用の取り消しに賛成の立場を表明した人物だ。こういった背景も、「維新=右翼」といわれる要因となっている。