9月29日のドイツの総選挙ではSPDが勝利して第1党となった(写真:ロイター/アフロ)

ドイツ新政権:厳しい対中姿勢へ

 ドイツでは、総選挙で第1党になった中道左派の社会民主党(SPD)を軸とした連立政権の大枠が合意に達した模様である。

 対中経済関係を重視し、融和的政策でドイツおよび欧州連合(EU)を主導してきたアンゲラ・メルケル首相が引退を表明するなか、ドイツでは9月末に連邦議会選挙(総選挙)が行われた。

 同選挙において、メルケル首相が率いてきた中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、過去最低の得票率で第2党に陥落した。

 第1党になったのは、冒頭に記したSPDで、第3党は緑の党(Grünen)、第4党は自由民主党(FDP)であったが、いずれの政党も単独過半数に届かなかったため、ドイツでは恒例行事となっている、第1党のSPDを軸とした連立交渉に入った。

 産経新聞(パリ支局・三井美奈、10.16)によると、SPDは10月15日、GrünenおよびFDPとの連立交渉で大枠合意に達したと発表した。

 合意文書は12ページで、デジタル化推進と環境対策を重要課題の筆頭に挙げた。

 メルケル政権は、2038年までの「脱石炭」を掲げていたが、Grünenの要求に添って、石炭火力発電を2030年までに全廃する目標が明記された。

 外交では、EUや北大西洋条約機構(NATO)を重視する従来の方針を引き継ぐとしているが、インド太平洋政策には触れていない。

 実は、主要4党の総選挙における選挙公約では、中国に対する関心の高まりと、同国に対する認識が厳しくなっている状況を浮き彫りにしていた。

 そこで、各政党の対中政策に関する公約について、以下要点を説明する。