韓国人が文在寅大統領を批判するときの言葉に「スプーン大統領」がある。食事を準備している時に自分は何もせず、食卓に料理が並べられた途端、そこに自分のスプーンをそっと乗せて一緒に食事をする――という意味だ。要するに、文大統領は自分では何もしていないのに、他人の功績にそっと“便乗”しあたかも「自分の手柄」のように偽装している、という批判だ。
わかりやすい例を挙げてみよう。
ソマリア沖派遣中にコロナ感染した兵士の救出劇は「大統領の指示」?
今年7月、アフリカ東部ソマリア沖のアデン湾付近に派兵中の清海部隊所属の駆逐艦「文武大王」(4400トン級)の兵士らがコロナに集団感染する事件が発生した。7月15日に最初の感染者が確認されてから4日後の19日には、乗組員(301人)の82%に当たる247人が感染するなど、艦船という密室でコロナが急速に感染する極めて危険な状況だった。さらにコロナワクチンの不足により、清海部隊の乗組員全員がワクチンを接種していない状態だったことも明らかとなり、文在寅政権が誇る「K-防疫」の虚像に対する非難が殺到した。
「一日も早く文武大王に乗船した兵士らを故国に移送して治療を受けさせなければならない」との世論が高まる中、国防部は7月20日、空中給油機2機を現地に派遣して、兵士全員を無事帰国させることに成功した。この時、大統領府は空中給油機の派遣が文大統領のアイデアだと主張した。
「文大統領は報告を受けるやいなや、参謀会議で、“誰もがまったく思いつかなかった”空中給油輸送機を急派するよう指示した」
「“全員を安全に移送する対策を早く施行するように”と直接指示を下したのも文大統領だ」
しかし、その後、メディアの取材で空中給油機による輸送作戦は国防部のマニュアルに出ている事案であることが明らかになり、文在寅大統領の清海部隊兵士の輸送作戦に対する「スプーン便乗」は失敗に終わってしまった。