eパレットの走行実験の様子。交差点付近(出典:トヨタ、以下同)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 2021年8月26日、東京パラリンピック選手村内でトヨタ自動車製の自動運転車「eパレット(e-Pallet)」とパラリンピック出場選手との接触事故が発生した。その影響でトヨタはeパレットの運行を同日から停止していたが、8月31日15時に運行再開することを大会組織委員会が決定した。

 トヨタはオウンドメディア「トヨタイムズ放送部」で事故の発生状況と対策内容を示し、豊田章男社長が「この度接触した方の一日も早い回復をお祈りしている。(自動運転の)モビリティの運行停止で選手村の方々にご不便をおかけしたことを申し訳なく思う」と謝意を表明した。

事故再発を防ぐトヨタの対策

 トヨタの発表内容から事故の発生状況を振り返ってみたい。

 歩行者は視覚障害者で、信号機のない交差点を単独で渡ろうとしていたところ、車両が交差点を右折して接近し、車両は歩行者の動きを検知して停止した。その後、車内のオペレータが安全を確認して再度発進したうえで、交差点内の状況を確認して手動で減速を始めたが、道路を横断してきた歩行者を車両のセンサーが検知して自動ブレーキが作動した。それと並行してオペレータが緊急ブレーキを作動させたが、接触事故が発生した。

eパレットの歩行者検知機能についての紹介画像