巨人に電撃移籍した中田翔選手。写真は2017年3月、ワールド・ベースボール・クラシック2次ラウンドのとき(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 逆風が止まらない。北海道日本ハムファイターズから巨人へ移籍した中田翔内野手に対する凄まじいバッシングが今もネット上を中心に続いている。

 中田は日本ハムの後輩選手への暴力行為が判明し球団側から一、二軍戦の無期限出場停止処分を受けたものの僅か9日後、今月20日に巨人への無償トレードが両球団から発表された。翌21日の横浜DeNAベイスターズ戦で代打出場し、22日はスタメン出場を果たして移籍後初本塁打を放っている。無期限出場停止処分を受けていながらも、いくら新天地とはいえ、たったの10日で事実上の“処分解除”となり、のうのうと試合に出場できるなんて、どう考えても理不尽極まりない――。中田本人だけでなく、この電撃移籍をまとめた日本ハム、そして巨人へ怒りをぶちまける人たちの声を集約すると、大体このようなものであろう。

多くの批判があっても「柳に風」の巨人

 確かにその通りだと思う。しかし、残念なことにルール上では何も問題はない。無期限出場停止処分を下したのは、あくまでも前所属の日本ハムだ。その日本ハム側から中田の無償トレードを打診されて了承した巨人にとっては“何の関係もない効力”である。ネット上では中田を獲得し、何事もなかったかのようにすぐさま戦力として出場させている巨人に対して「道義に反する」「厚顔無恥にも程がある」などと主張する書き込みも未だに散見されるが、これらの叫びも悲しいかな当事者側に突き刺さるようなことは全くないだろう。

 中田が新天地で初ホーマーを記録した22日のDeNA戦では試合が行われた東京ドームに長嶋茂雄終身名誉監督が姿を見せている。この日、長嶋氏は試合前に中田を激励。そのミスターとの対面に加え中田については移籍後に医療従事者へ300万円を寄付したことも、巨人側から発表されている。さらには移籍後初本塁打を記録した中田の公式記念グッズまで発売することも球団側から公式サイト上で26日に発表された。