「世界」が日常のなかにあるのが当たり前の時代。その象徴がスポーツである。メジャーリーガー・大谷翔平はアメリカで、サッカー日本代表のキャプテン遠藤航はイギリスで、最高峰の舞台で活躍するアスリートは日本にとっても大きな価値だ。
そのアスリートをどう支えていくのか。
元メジャーリーガー・上原浩治などのマネジメントを行うスポーツバックス代表取締役・澤井芳信は、本連載でスポーツマネジメント業界の現状、上原浩治YouTubeチャンネル成功の秘密、アスリートの被災地支援、日本人メジャーリーガーのマネジメントの秘訣などスポーツマネジメント業界の意義を考えてきた。
第七回となる今回は、マネジメント「新しいこと」への挑戦について。
スポーツマネジメント領域の定義を考える
読書はジャンルに限らず、嫌いではない。
時間を見つけ、何かしら新しい知識のインプットや心を揺さぶるノンフィクション、漫画も含めて幅広く手に取る習慣をつけるようにしている。
最近、刺激を受けたのが、ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・M・クリステンセン著(依田光江・訳)の「ジョブ理論」だ。
スポーツマネジメント会社を立ち上げて10年を迎えた。ここまできたという充実感とともに、焦る気持ちもあった。アスリートのマネジメントがうまく軌道に乗っている今だからこそ、なにか新しいことを始めないといけないのではないか。
しかし、この本と出会い、自分のこれまでを振り返るとともに、このまま前進していこうと思えるきっかけを得た。
ビジネスの世界では常に新しいモノを追求し、トライしていくことが強調されるが、そうではない進み方もあるのではないか、と思えたのだ。今回は、そんな話について書いてみたい。
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スポーツビジネスやエンタメの世界は、アメリカが先行しているというのが一般常識だろう。
しかし、アメリカなどの海外には、アスリートをマネジメントするという概念があまりないようだ。それが日本で一般的である背景には、独自に発展を遂げた芸能プロダクションの影響があるのではないかと推察する。
アメリカ同様、例えば日本人メジャーリーガーの場合には、年俸交渉などはエージェントが行う。しかし、シーズンオフでのメディア露出機会の創出や、コンディショニング、日本国内でのスポンサー営業には、やはり日本のマネジメント会社の存在は欠かせないと思っている。