大学受験シーズン。4月には新たなステージで野球、サッカー、アメフットといったスポーツを始める生徒も多い。
「大学スポーツ」は日本の野球界を支える大きな財産だ。しかし、課題も多い。相次ぐ不祥事はその象徴だ。
資産を守るためどう改善すべきか。上原浩治らのマネジメントを行うスポーツバックス・澤井芳信による連載第5回。
不祥事はなぜ起こるのか?
2023年は大学スポーツが騒々しい一年だった。
日本大学のアメリカンフットボール部や東京農業大学のボクシング部で違法薬物に絡む逮捕者が出たほか、立教大学の硬式野球部では上級生が下級生に暴力を振るうという不祥事も相次いだ。
11月には、私の母校でもある同志社大学でも準強制性交の罪に問われたアメリカンフットボール部の元部員4人が実刑判決を言い渡された。
日大アメフット部の薬物問題では、大学側が廃部の方針を打ち出した後、世間でも賛否が分かれるなど高い関心を集めた。
「大学の部活ではあるが、大学の管理が及ばない」。
これが、日本における大学スポーツの実態だと言える。もちろん、大学は体育会に所属する部員を学生確保の手段として活用し、活動に対して補助金なども出している。
対価は十分にあり、正月の箱根駅伝をはじめ、大学スポーツは大学に対して大きな「広告効果」をもたらしている。いわば、大学スポーツは経営にも直結する重要なコンテンツのはずである。
一方で、名門と呼ばれる大学の部活では、監督人事も大学の関与はなく、OB会組織などが決めて選出する。クラブ活動の運営についても、大学側の関与は低く、「管理・監督責任」は部の組織や部員たちに求め、大学側は日大アメフット部を例にしても、問題が生じた場合には「処分」する側に立っている。
体育会の学生の成績管理などにも消極的だと言わざるを得ない。
一例を挙げれば、大学側は体育会の学生にも勉学に励むことを求めてはいる。しかし、実態に沿っているかといえば、疑問は多いにある。