総合資源エネルギー調査会への抗議文
残念ながら、再エネや原発を巡る議論は対立が先鋭化しがちで、それが故に、ファクトに基づく政策論争よりレッテル貼りの言い争いに陥りやすい。
再エネ推進論者は「現実がわかっていない」、「国益に反する連中だ」などとよく批判される。一方で原発推進論者は「大手電力の手先だ」などと中傷されがちだ。
驚いたことに、政府の審議会でも、そんなレベルの誹謗中傷が行われている。8月4日の総合資源エネルギー調査会基本政策部会では、ある委員が再エネTF(私を含む4名が委員を務める)を名指しし、「最低限の知識さえも理解も有さないような委員で構成されている」、「存在していること自体がどうかと思う。行政改革すべき対象」などと発言した。さすがに政府の会議でありえない暴言なので、運営責任者の経済産業大臣らに対し抗議書を発出して対処を求めている。
(参考)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/conference/energy/20210817/210817energy20.pdf
言うまでもなく、こんなレッテル貼りの言論には価値がない。真っ当な政策論争を妨げるだけだ。
ましてエネルギー政策は大転換期にある。こうしたときこそ異なる意見を戦わせ、最善の道を見出すことが肝要だ。異なる意見に対してレッテルを貼りシャットアウトしているようでは、日本のエネルギー政策は危うい。エネルギー政策の中核を担う総合資源エネルギー調査会がこんなことではいけない。
ファクトに基づくエネルギー政策論争を続けていかねばならない。
ここまで読んでいただいた方の中には、「そうはいっても、脱炭素や再エネなんて怪しい動きだろう」と思っている方も少なくないかもしれない。そうした方には一度別の方向から見てみることをお薦めしたい。そのうえで、自ら確信を持てる視座を定めたらいい。
猪瀬直樹氏が今月ビジネス社から出版した『カーボンニュートラル革命』は、そうした方にぜひお薦めしたい一冊だ。