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 政府が進めている「脱炭素」は座礁する——私がそう確信するのには理由がある。

 政府は2030年度に温暖化ガスを「46%削減」するとしたが、政府が出してきた電源構成案は「帳尻合わせ」に過ぎなかった。「脱炭素」政策は、目標を達成不可能である。

 この脱炭素政策のなにが問題なのか? 企業はどう対応すべきなのだろうか?

「エネルギー基本計画」電源構成の公表

 菅義偉首相は、2020年10月に、2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする、すなわち日本は「脱炭素を実現する」と宣言した。さらに菅首相は、今年4月22日に米国・バイデン大統領主催の気候変動に関する首脳会議(サミット)に出席し、「野心的な目標として30年度に46%削減を目指す」と各国首脳に向けて述べたのだ。

 この唐突に設定された「46%削減」に対応するため、経済産業省は、約3カ月後の7月21日に「エネルギー基本計画」の電源構成の案を公表し、8月4日に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に提案した。

 この「脱炭素」の基本となる「エネルギー基本計画」の電源構成の骨子を図1に示しておく。赤背景で示した「座礁資産」については後述する。

図1:「脱炭素電源」と「火力発電」からなる電源構成の骨子(著者作成)
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