これではまるで「文政権側は何を言ってもいい、反文政権側は言論を自制せよ」と言っているようなものではないか。与党の最高委員がわざわざ参戦し、「言論封じ」に乗り出するところは実に文在寅政権らしい。

北朝鮮の挑発発言には反論できないのに

 このように、自分たちに向かってくる者には容赦ない過剰な反撃を加え、メディアの言論封殺までしようという文在寅政権と与党「共に民主党」なのだが、北朝鮮に対しては相変わらず「ダンマリ」だ。

 前々回の寄稿でも触れたが、8月1日に北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長が米韓合同演習の中止を求める談話を発表すると、これを受けて韓国の与党・民主党と進歩系の議員74人は、これに応じるよう求める連判状を作成して政府に提出、文在寅政権は米朝の間に入ってやむなく演習の縮小ということでお茶を濁した。

(参考)米韓合同軍事演習「規模縮小」で北朝鮮の「許し」を乞う文在寅
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66404

 しかし、北朝鮮はそれでは満足しなかった。10日に規模を縮小した形で米韓合同軍事演習が始まると、すぐさま金与正副部長が談話を発表、「在韓米軍の撤収」を要求し、「安保脅威」などという言葉を発して軍事挑発を予告した。

米韓合同軍事演習の「中止」や朝鮮半島からの「米軍撤退」を要求する北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長。写真は2019年3月のベトナム訪問時のもの(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 さらに文政権が「金正恩国務委員長と合意した」として回復した南北間の通信連絡線についても、「南朝鮮当局者の背信的仕打ちだ」として10日午後から定時通話に応じていない。

 ではこの状況に韓国政府はどういう姿勢を示したのか。