韓国MBCの「PD手帳」に登場した元国家情報院職員という匿名の告発者(MBC「PD手帳」より)

 韓国の情報機関が、「独島郷友会」会長や慰安婦支援団体代表の訪日に関する情報を、事前に日本の極右に流していた――。

 そんな調査報道が韓国のテレビ局で放送された。事実とすれば、相当衝撃的な内容だ。韓国で大騒ぎになっても不思議ではない。ところが今までのところ、韓国でこの問題は大きな議論を呼んでいない。なぜなのか。

「日本では行く先々で右翼がわれわれを“歓迎”した」

 東京五輪開幕式の中継で、ウクライナ選手団の入場際、チェルノブイリ原発事故写真を使って世界的に非難を浴びた韓国の公営放送「MBC」が、韓国の国家情報院(国情院)と日本の右翼とのコネクションを暴く調査報道を放送した。

 8月10日、MBCは報道番組「PD手帳」において『不当取引——国情院と日本極右』とのタイトルで、国家情報院出身の匿名の情報提供者の告発と7カ月間の取材を元に、次のような暴露報道を行った。

1、韓国の国情院は、慰安婦運動家である尹美香(ユン・ミヒャン)氏、独島守護活動家の崔在翼(チェ・ジェイク)氏などの動向を日本の公安に提供し、日本の公安はこれを日本の右翼団体に提供してきた。そのため、尹氏と崔氏は日本を訪問するたび、滞在中ずっと右翼に付きまとわれた。番組には尹美香氏も出演し、次のようなインタビューでこの主張を裏付けた。

「私たちが日本を訪問する時、広報をしなかったにもかかわらず、日本の右翼が真っ先に私たちを“歓迎”する。行事のため、建物に入ると、建物の入口から大きな拡声器をつかって、『慰安婦は偽物だ。慰安婦は売春婦だ』と叫ぶ。そんなことが私の行く先々で起こっていて変に思った」

MBC「PD手帳」より

 さらに匿名の情報提供者は、国情院勤務当時、事務所で上司が電話で誰かに「あいつ(尹氏)のパンツまで調べろ」という暴言を吐くのを聞いたと主張した。