好奇心を持つことで質問が変わる

 相手が誰であれ、関係をつくるには、何か共通点はないかを聞きながら探し、徐々に信頼関係を築くのが王道です。

 尋問はテロリストに効果がないくらいですから、社交的な場で会った人に効果があるわけがありません。

「お仕事は何ですか?」
「どこにお住まいですか?」
「出身校は?」
「ご結婚はされているのですか?」
のような、値踏みするようなプライベートな質問を浴びせかけるのは尋問です。

 相手を知ろうとしているのではなく、品定めしようとしているのです。これでは、相手は反射的に身構えてしまいます。ここから始まる会話の内容も、表面的な、履歴書を再生したようなものか、手短な自己アピールになってしまってちっともおもしろくありません。

 好奇心旺盛な人は、予測できないことを怖がるのではなく、わくわくします。空港でフライトを待つ間、本を膝に置いたままそれを開くことがなかったり、外出中には携帯電話のことなどすっかり忘れてしまうタイプです。彼らは、人にしっかり耳を傾けます。理解したい、つながりたい、そして成長したいからです。

 CIA局員や聖職者、バーテンダー、犯罪捜査官、心理療法士、救急救命室の受け入れを担当する看護師など、ありとあらゆる話を聞いてきたと思われる人たちが、今なお人が聞かせてくれる話に驚き、笑い、ときには愕然とすると言います。聞くことが、彼らの人生をおもしろくし、彼ら自身をおもしろい人物にしてくれるのです。