(佐藤 けんいち:著述家・経営コンサルタント、ケン・マネジメント代表)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「第1波」にかんしては、日本国内においては終息の方向に向かいつつあることは確かなようだ。
とはいえ、「第2波」が来ることは間違いないし、さらに「第3波」「第4波」と波状攻撃が断続的に繰り返されることも避けられない。全国規模ではないとしても、緊急事態の解除と再宣言、解除と再宣言が繰り返されることになりそうだ。しかも、冬になれば南半球からの逆襲も懸念される。
ワクチン開発に成功したとしても、治験をへて認可され、量産体制に入って流通するまでは、まだまだ時間がかかる。そう考えれば、いまのような状態が「ニューノーマル」として続くのだと考えるべきだろう。つまり、新型コロナウイルスとの「共生」の数年間が避けられないということだ。さらにいえば、異なる種類のウイルスの感染が始まる可能性もある。
新型コロナウイルスとの「共生」が中長期にわたると想定すると、当然のことながら価値観の変化への対応が必要となってくる。というよりも、あらたな価値観に基づいた社会の構築に向けて考え、動くべきときが来ているということかもしれない。
このたび、私の編訳で『ガンディー 強く生きる言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)というタイトルの本が出版されることになった(5月28日発行。書店の店頭には、もっと早く並ぶはずだ)。インド独立の父・ガンディーの言葉を191項目選んだアンソロジーである。
企画が始まった昨年(2019年)においては、コロナウイルスの「コ」の字も念頭になかったことは言うまでもないが、まさに現在のこのような状況だからこそ、ガンディーの言葉にじっくりと耳を傾けるべきだという思いが、自分のなかでは日増しに強く感じるようになっている。あらたな価値観の構築のヒントになるのではないかと思うからだ。
今回は、なぜいまガンディーなのか、そもそもガンディーはどういう人だったのか、ガンディーの言葉がなぜあらたな価値観の構築に繋がる可能性があるのか、そういったさまざまな点について、私なりに考えていることを述べてみたいと思う。