衣服がいまだ十分ではなかった5000年以上昔の紀元前3000頃、身分や地位の印として、また、大切な子孫を残すために重要な男根を熱帯病や昆虫などの咬傷に犯されるのを防ぐため、木の皮の繊維やヤギやブタの盲腸、膀胱で作られたサック状の筒「亀頭帽」が開発された。
そして、これをペニスに装着する風習が始まった。
インドでは4世紀に記された性愛論書『カーマスートラ』に「『模擬男根』を性交時に男陰に着せて用いる」と記されている。この具の目的はもっぱら防毒と避妊である。
『受胎調節の歴史』の著者、ノーマン・E・ハイムズによれば、ローマ帝国で性病予防の目的から亀頭形のある種の鞘がローマで用いられていたと明かしている。
コンドームは英国ではフレンチレターと呼ばれ、ドイツ人はパリゼ(パリッ子)。フランスでは英国人のレインコートを意味するカポット・アングレーズと呼ばれている。
米国ではジミーハット(ジミーは男根を意味しジミーの帽子の意)と呼ばれている。
コンドームというネーミングは、17世紀に王政復古期ステュアート朝のイングランド、スコットランド、アイルランドの王チャールズ2世(1630-85)の侍医であるコントンがコンドームの発明者で、その名に由来しているとの説がある。
コントン伝説にはいくつかの根拠があり、チャールズ2世は精力絶倫で、命中精度が極めて高く、愛人たちが次々と孕んでしまい、閉口した王の命により侍医のコントンが苦心の研究の結果、絹製の亀頭帽を開発したのがコンドームの始まりという逸話である。
ルイ15世の侍医でJ・アスティックも「英国で継ぎ目のない鞘の形のサックが使われコンドムといわれている」と書き残し英国起源説に拍車をかけている。
ほかにも植物の種を保存するため動物の腸で作った長い容器を意味するペルシャ語の「Condu」が由来との説もあり、中世ローマの学者が戯れに作った動物の腸の袋にコンドームの名をつけたが、それが訛ってコンドムとなった説もある。