コンドームが世界各地で開発・改良されてきたが、その目的は梅毒のヨーロッパ渡来と深く関係している。

 梅毒は性交により性器や口にしこりや潰瘍ができる感染症である。

 それまで西インド諸島の風土病だった梅毒が1492年、クリストファー・コロンブスの遠征に参加した隊員によりヨーロッパに持ち込まれると、瞬く間に全世界に蔓延。

 欧州大陸上陸からわずか20年後には日本にも上陸した。

 わが国ではコンドームに関する最古の記録として明和年間(1764-72)江戸薬研堀の「四つ目屋」の取り扱い一覧に「くわいにん(懐妊)せぬ道具、甲型」とあり、「湯に浸して亀頭に装着すれば女性の愉悦すること甚だしい」と謳っている。

 また、文政十年(1827年)発刊の『閨中女悦笑道具』にはオランダ伝来のコンドームについて綴られている。

「革形-茎袋という。薄き唐草にて作り蛮名をリュールサックという。淫汁を玉門の中に洩らさぬための具、堕胎せぬ用意なり」とある。

 当時、コンドームの素材はリネン製のものやフィッシュスキンとよばれる動物の盲腸や膀胱、魚の浮き袋を使用していた。

 米国のグッドイヤーが1843年にゴム加硫法による技術革新により、現在のコンドームの原型が完成。一般向けに大量生産されるようになり、コンドームの材質はゴムが主流となる。

 明治7年(1874年)になると避妊具、性病予防具としての本格的なコンドームが日本に上陸。このゴム製コンドームは「ルーデザック」の名で呼ばれた。

 値段は1ダース3円、当時は米1升が3銭の時代。3円は1石の米が買えた。