米国の対応

 このような中国の世界覇権を目指す動きに危機感を持った米国は、ドナルド・トランプ政権以降、中国に対抗する姿勢を強めている。

 サプライチェーンからの中国外し、日台韓などの半導体メーカーおよび日本の素材と製造装置メーカーの取込み、中国との人の往来・留学生受け入れの制限、中国軍関係留学生の追放、知的所有権侵害・技術移転の強要・中国国営企業への補助金・サイパー攻撃による技術窃取・ヘッドハンティング・買収・スパイ工作などの一掃を目指している。

 米国は自陣営のブロック内でも経済・技術・情報面では熾烈な戦いを続けている。

 日米半導体協議の教訓として、国家規模の長期産業戦略・政策、企業の枠を超えた業界の再編、軍需産業を中心とする先端技術分野への長期集中投資、研究開発体制の強化、サプライチェーンの中国外しと国内回帰、知的財産の保護、サイバーセキュリティ強化、スパイ防止、中国の影響力工作排除などに取組んでいる。

 トランプ政権下では強力に対中封じ込めが進められたが、ジョー・バイデン政権になり、議会の反中姿勢もあり基本的な方向は変わらない。

 ただし、気候変動など利害が共通する分野での協力の呼びかけ、一部の中国系企業に対する制裁の緩和、影響力工作の拠点の閉鎖措置の停止などの対中融和策もとっている。

日本としての対応

 日米半導体協議の教訓として、国家規模の長期経済・技術戦略、それを支える企業の枠を超えた業界の再編が必要である。

 その際に再編の軸になるのは防衛産業であり、産官学と防衛省の新たな連携が不可欠である。この連携なしでは米欧韓台にも勝てないであろう。

 その際の重点は、AI、スパコン、6G次世代通信情報ネットワーク、自律型無人兵器、航空宇宙、海洋、バイオなどの分野であろう。

 最先端兵器システムとしては、極超音速機動型飛翔体、指向性エネルギー兵器、長射程精密誘導ミサイル、次世代戦闘機、新型潜水艦・艦艇、地上・水中・空中の各種無人兵器などとなるであろう。