100mの大蛇の出現を待ち迎えた夜、そして朝。

(17)100m大蛇の情報を得て案内役をしてくれた2人の友人の1人と筆者。彼は子供時代に両親に連れられてアマゾンに移住し農業を営んでいた。

(18)日没後、大蛇の挙動を待つ間、船上で記録を記そうとアップルのノートPCに電源を入れたところ、液晶画面の明かりにいきなり無数の虫が集まって覆い断念。

(19)船上の筆者。この年の3月までNHKのニュース情報番組「ミッドナイトジャーナル」(月~金)のキャスター仕事を1日の休みなく3年続けていたため、久々の解放感を満喫。

(20)これが100mの大蛇姉妹が生息するという島。

(21)簡単な照明、ビデオカメラもスタンバイして待ったが、日没後も川面は静かなままだった。

(22)朝。100mの大蛇を見ることはできなかった。

(23)途中の村で見せられたヘビの皮。スクリュージュ(オオアナコンダ)ではなく、長さも1mちょっとだった。

(24)現地を無念の撤退。驚いたことに「サンパウロのジャポネス(日系人)が大蛇の姿をとらえようと毎年やって来て、1カ月間、岸辺でカメラを狙い続けているんだ」という話を聞いた。100mの大蛇の噂は、ブラジルの中心地、サンパウロまで届いていたようだ。

 最初に会った古老、訪ねた小さな集落の人々、釣りをしていた漁師、そして巨大ヘビへの恐怖から酔いつぶれ機関室の隅から出てこなかった船長。少なくともこの地域の人々は、何らかの巨大で恐ろしいものが存在するという共通認識を持っていることだけは確かだった。

(25)元の村に帰着。パイロットはこの無線電話局からマナウスの空港を呼びしてフライトの予定を告げていた。

(26)マナウスに向けて離陸し数分後、機内から見たヴェネズエラ国境方面。

 あの奥地の村の100mの大蛇の噂は、その後、写真が撮れたという話もないまま消えていった。

 だいぶ後になってからだが、「山根さんが本に書いたオオナマズに飲み込まれたインド人青年ですが、飲み込まれたんじゃなかったんです」と聞かされた。何日か後に下流で水死体として発見されたようだった。

 水中から浮上しなかった → 川底には電気ナマズがいるためそれに触れて感電し気絶(あるいは絶命)→ そこにピライーバがやってきた飲み込んだ・・・という空想の連鎖から、「かわいそうに、オオナマズに飲まれてしまった」というアマゾンならではの「あり得そうなシナリオ」をイメージした者がいて、それを口にするうちにあたかも事実として拡散したに違いない。そもそも濁ったアマゾン川の水中で何が起こったのかを第三者が目撃することなどできないのだから、どう考えても空想話にすぎなかったのだ。