(4)飛行機の爆音を聞きつけ、おそらくこの村のすべてのクルマが空港に集まってきた。空港といっても密林を開いただけの舗装もされていない草地滑走路だが(奥地ではそういう場所も「Aeroport=空港」と呼ぶ)。
(5)クルマで駆けつけた数人は軍警察で、私たちは「不審者」として取り調べを受けることになった。国境が近いため、この界隈で小型機を利用するのは麻薬業者が多いため疑われたのだ。
(6)村の中心地。軍警察事務所での取り調べで「大蛇を探しに来た」とも言えず、「ここは美しい土地と聞いて観光の取材に来た」と弁明。やっと理解してもらったとたん、山のような土産品を買わされた。たくさんの木の実をヒモに通しただけのネックレスだったが、やむなく購入。後、この木の実から大量の虫がわいて難儀した。
(7)交渉して船をチャーターできた。村の古老に会い大蛇のことを聞くと、とんでもない大蛇がいるという場所を教えてくれた。
(8)チャーターした船。現地で1泊するため料理人も雇い食料や飲料も積み込んだ。
(9)すれ違うカヌーで通りすぎる現地の一家。
(10)アマゾンではどこでも見る川の風景。
(11)小さな集落があり情報収集のため下船。
(12)この村の長老は、手を大きく広げて「100mの大蛇がいる」と真剣な表情で話した。「いつもは小さな島の水際の下に巣があるらしく、大蛇が動き出すと大きな渦巻きが起こり木の葉が水面を覆い尽くす、そのさまは怖ろしい」と。
「川面にいる時は水中から背の部分がとびとびに凸状に出るが、その凸状の山が20以上連続しているので100mあるのは間違いない」
「頭と尾が川の両岸に届くのを見た」と話す者もいた。それが本当なら100mどころではなく400mになる。こうなると流行の魔界ものアニメの創作にもおよばない。だが、彼らの真剣な話しっぷりから、何らかの巨大な生物がいることを思わせた。
(13)船を進めると河岸で釣りをしている漁師がいたので接岸。「大蛇」について聞くと、「大蛇は2匹いて姉妹だ。でも最近、姉妹はケンカして姉の方がどこかに出て行ってしまった」と言う。なぜ姉妹で、片方が去っていったとわかったのか? 話はますます具体的に、より現実離れしていく。だが、嘘話で私たちを喜ばせようとしているのではないことだけは明らかだった。
(14)夕方、目的地の島(川の中洲のような場所)に着いた。
(15)数時間前から船長の様子がおかしかった。操船しながらピンガ(カサーシャとも呼ぶサトウキビで作るアルコール度数40度の蒸留酒)を飲み続けていたことがわかった。乗組員によれば、船長は大蛇が棲む場所に近づくにつれて恐怖が増し、飲まずにいられなかったようだと言う。
(16)船を島に接岸・係留したとたん、船長はバタバタと音を立てて階段を下り機関室の隅に身を隠しおびえていた。そのまま食事もせず翌朝までここから出てこなかった。